葛川にいる生物:底生生物

底生生物に詳しい当会会員、門間が葛川で撮影した底生生物たちの写真を掲載しています。川底ではどのような生活が行われているのでしょうか?門間のコメントと共にご覧ください!


コシボソヤンマ 2017年4月29日 葛川向根橋下流(二宮町一色)

特徴・後頭部が横に張り出す。側棘が4~9節にあり、5~9節は特に顕著。
神奈川県のレッドデータブックでは「要注意種」とされていますが、県内の河川でたまに観察できます。写真を撮ったら川へ戻しましょう。

オナガサナエ 2017年4月29日 葛川向根橋下流(二宮町一色)

特徴・翅芽(翅の原基)が八の字に開く。側棘7~9節。背棘2~9節。触角が楕円形。
都市河川で多く見られるサナエトンボ科です。おなかの背面を指で触ると突起があるのが分かります。

コオニヤンマ 2017年4月29日 葛川 西谷戸橋(二宮町一色)

特徴・触角がうちわ型で幅広い。腹部が幅広く薄く木の葉型。
和名にヤンマとありますが、このトンボはサナエトンボ科です。姿が独特なので一目でわかります。神奈川県内の多くの川で見ることができます。幼虫時代が2年以上かかると言われていますから、写真を撮ったら川へ戻しましょう。

ヘビトンボ 2015年3月13日 葛川前田橋付近(二宮町一色)

神奈川県で確認できるヘビトンボの仲間は3種います。この写真はヘビトンボです。オレンジ色の頭が特徴で、肉眼で見分けることができます。撮影したら川へ戻しましょう。他の2種は見分けにくいので、標本にしたほうが良いでしょう。

この写真はピンボケですが、川の中で撮影した珍しい写真なので載せました。大きな牙を開いて威嚇しています。指をかまれないように注意しましょう。
この採取は藤田さんともう一人会員の方と、私の3人でやりました。1日に6か所を回る大変な1日でした。疲れたので、次の年には3か所、その次からは2か所としました。

コモンナガレアブ 2022年3月21日 葛川本流(田端橋下流)
側面から見た全形

背面から見た全形

あまり見栄えのしない虫なので、掲載をためらった。しかし、水質を測るうえで重要な種なのであえて載せました。特徴は体表の凹凸と腹部に生えた擬脚と腹部末端の長い鰓。神奈川県内の河川では山地渓流でしか出てこない種です。やはり周囲の丘陵から流れてきた個体なのか?。まさかナガレアブ科が出てくるとは思いもしませんでした。

ヒメアメンボ 2022年5月28日 葛川本流(西谷戸橋下流)

通常は止水(水が流れない池など)に生息するアメンボの仲間。飛べるので上流の湿地などから飛来したものと思われる。体形がやや太短い。ほかにも識別点はいくつかあるがいずれも分かりにくい。この個体も専門家に見ていただいて同定した。

フサオナシカワゲラ属 2022年3月21日 葛川本流(田端橋下流)

特徴は頸部に生えた房状の鰓。この写真では分かりにくいので下の写真を見てね。

同個体の頸部腹面。この鰓で水中の酸素を取り込んでいる。幼虫での種同定は現在の知見ではできないため属で止めた。

フタスジモンカゲロウ 2022年3月21日 葛川本流(田端橋下流)

日本のモンカゲロウ科は3種確認されている。そのうち水のきれいな上流部に生息すると言われる種。特徴は腹部背面の3条の線。砂の中に穴を掘り、流れ込む水から酸素を取り込み、一緒に流れ込む細かい堆積物を餌としている。

フタツメカワゲラ属 2022年3月21日 葛川本流(田端橋下流)

カワゲラ目幼虫は水のきれいな場所が好きだ。水質が良い事を表す代表的な川虫。特徴は写真では分かりにくいが単眼が2個。頭部の白い点がそれだ。脚の間から見えている白い房毛が腮(エラ)。葛川で確認しているカワゲラ目幼虫はこのほかにオナシカワゲラ属がいる。どちらも幼虫での種同定は現在の知見ではできないので属で止める。